【福岡市版】不動産を共有相続するとどうなる?共有持分でできることを解説!

相続について

萬谷 詠史

筆者 萬谷 詠史

不動産キャリア25年

不動産業界歴25年のベテラン。賃貸、売買、投資、管理と、不動産のあらゆる分野で培った経験をもとに、物件の価値を様々な角度から見極め、最も有利な売却方法をご提案いたします。「頼んでよかった!」というお声を多数いただく、信頼と実績のある“売却のプロフェッショナル”です。

保有資格: 宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産キャリアパーソン
取扱実績:3,000件以上

不動産を共有相続するとどうなる?共有持分でできることを解説!

遺産の中に不動産が含まれている場合、公平性を重視して共有名義にすることがあります。
「平等に持分を取得すれば揉めないだろう」と思いがちですが、必ずしもそうとは限りません。
今回は、不動産の相続を控えてる方に向けて、共有持分でできることや起こりうるトラブルについて解説します。

将来起こり得るトラブルに要注意!相続における不動産の共有名義とは?

将来起こり得るトラブルに要注意!相続における不動産の共有名義とは?

共有名義とは、1つの不動産を複数人で所有している状態を指します。
不動産に関する情報は、登記所(法務局)に備え付けられた登記簿に記載されます。
たとえば、長女が単独で不動産を相続したら、登記簿に記載される名義人は長女のみです。
長女と次女が共有で相続する際は、登記簿に長女と次女の名前・住所・共有持分が記載されます。

共有持分とは?

共有で不動産を相続すると、登記簿に所有者の情報だけでなく、共有持分も記載されます。
共有持分とは、各相続人がその不動産について持っている所有権の割合のことです。
遺言書があれば、その内容が優先されますが、持分割合は法定相続分によって決めるのが一般的です。
たとえば、3人の子が1つの土地を相続する場合、各相続人が3分の1ずつ所有権を取得することになります。
遺言書がない場合や、遺言書の内容と異なる割合で分割したい場合は、遺産分割協議によって決めることも可能です。
遺産分割協議で相続人全員の合意が得られれば、どのような割合で共有持分を分けても問題ありません。

持分割合によって受け取る金額に差が出る

不動産を複数名で相続し、その後売却することもあるでしょう。
共有名義の不動産を売却する場合、持分割合によって受け取る金額が異なります。
たとえば、長男と次男の2人で1つの不動産を相続し、1,000万円で売却したとしましょう。
長男の持分割合が80%、次男の持分割合が20%だった場合、長男は800万円、次男は300万円を受け取れます。

不動産を共有名義にするメリット

相続で不動産を共有名義にするメリットは、相相続人間の公平感が図れることです。
不動産は物理的に分割することができないため、基本的に1人で1つの物件を相続することになります。
しかし、遺産が不動産しかない場合、1人で相続するとなると不公平感が出て、トラブルになる可能性があります。
共有名義を選択すれば、相続人それぞれが所有権を持てるため、平等に財産を相続することが可能です。

相続した不動産の共有持分でできることとは

相続した不動産の共有持分でできることとは

共有名義の不動産は単独で売却することができず、一般的な不動産よりも制限があります。
しかし、簡易的な修繕などであれば、共有者全員の同意がなくても実施することが可能です。
ここからは、共有持分でできる行為について解説します。

自己の共有持分のみでできる:保存行為

以下のような行為は保存行為に該当し、所有者が単独で実施することが可能です。

●現状維持のための修繕やリフォーム
●共有不動産の使用
●不法占有者への明け渡し請求
●共有持分のみの売却


保存行為とは、共有している不動産の現状を維持するための行為をいいます。
雨漏りや故障した設備の修繕といった現状維持のための工事であれば、他の共有者の同意は必要ありません。
ただし、修繕工事をおこなう際には、あらかじめ他の共有者に相談しておくことをおすすめします。
工事費用を請求した時に、「あなたが勝手にリフォームしたんだから」と支払いを拒否されてしまう可能性があるからです。
なお、見栄えを良くするためにおこなったリフォームは保存行為に該当しないため、単独で判断・実施することはできません。

過半数の共有持分でできる:管理行為

持分割合が2分の1以上あれば、以下のような管理行為が行えます。

●資産価値向上のためのリフォーム
●短期間の賃貸借契約締結・解除
●賃料の減額
●共有物の使用方法の決定


短期間(土地は5年以内・建物は3年以内)であれば、共有者全員の同意がなくても賃貸に出すことが可能です。
上記の期間を超える場合は、共有者全員の同意が必要となり、過半数を超える同意があっても実行できません。
なお、共有持分に関する過半数の同意とは人数ではなく、持分の割合が過半数を占めることを指します。
たとえば、賃料の減額について10人中7人が合意していても、持分の合計が50%を超えなければ減額はできません。

共有者全員の同意がないとできない:処分・変更行為

以下のような処分・変更行為は、共有者全員の同意がないと行えません。

●売却や贈与
●解体や増改築
●抵当権の設定
●長期間の賃貸借契約


建物を解体やしたり売却したりするには、共有者全員の同意が必要です。
倒壊のリスクがあるような状態であっても、共有者の許可なく取り壊すことはできません。
その他、大規模な修繕や土地の分筆・合筆についても、実施するには共有者全員から同意を得る必要があります。
ただし、大規模な修繕であっても、軽微な変更は管理行為として扱われるため、持分割合が2分の1以上あれば実施できます。
軽微な変更とは、外壁の防水改修工事や砂利道のアスファルト舗装などです。

相続不動産の共有で起こりうるトラブルとは

相続不動産の共有で起こりうるトラブルとは

最後に、相続で不動産を共有名義にするリスクと起こりうるトラブル事例について解説します。

メガ共有のリスク

相続で不動産を共有名義にすると、メガ共有状態になり、子どもや孫に負担をかける可能性があります。
メガ共有とは、相続を繰り返したために共有者が多数存在し、代表者しか把握できない状況のことです。
たとえば、父が亡くなったあと、母と子どもが法定相続分どおりに相続し、不動産が共有状態になったとします。
共有名義を解消しないまま母や子どもが亡くなり、2次相続や3次相続が発生すると、共有者が雪だるま式に増えていきます。
何世代にも渡って相続が発生し、数十人から百人単位の共有者が存在するのがメガ共有です。
このような状態になると、共有者全員の連絡先を特定するのが難しく、売却管理ができずに放置されることも少なくありません。

維持管理費用の負担割合を巡ってトラブルになる

相続で不動産を共有名義にすると、修繕費用を巡ってトラブルになる恐れもあります。
不動産は利用しているいないに関わらず、建物であれば修繕、土地なら除草などの定期的な管理が必要です。
不動産の維持管理には、手間だけでなく費用もかかり、さらに毎年固定資産税も支払わなければなりません。
これらの費用を誰が負担するかを巡って、共有者同士でトラブルになる可能性があります。

共有状態を解消するのは難しい

相続で不動産を共有名義にしたものの、将来のリスクを考えて単独名義にしたいと思うこともあるでしょう。
共有状態を解消するには、共有者同士で話し合い、共有持分を売却したり放棄したりするなどの方法があります。
全員が納得すれば良いのですが、なかには共有状態の解消に反対する方がいるかもしれません。
共有者全員から同意が得られない場合は、共有物分割請求訴訟により、強制的に共有状態を解消する方法があります。
訴訟となると時間や費用がかかってしまうので、共有名義での不動産相続は避けておいたほうが良いといえます。

まとめ

共有名義とは、1つの不動産を複数人で所有している状態を指します。
遺言書がない場合、基本的に持分割合は法定相続分に応じて取得しますが、遺産分割協議で決めることも可能です。
共有名義の不動産は、共有者全員の同意がないと売却や活用ができず、放置されてしまうケースも少なくありません。
子どもや孫など次の世代に迷惑をかけないためにも、不動産の共有相続は避けて、別の方法を検討しましょう。

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