【福岡市版】相続税の取得費加算の特例とは?適用できない例や併用できる例をご紹介

税金関係

上野 力

筆者 上野 力

中古マンション・戸建て・収益物件売却のエキスパート
福岡県遠賀町出身。不動産業界歴15年、売却相談部にて年間200件以上の売却相談を担当する不動産のプロフェッショナル。お客様の人生を豊かにする長期的視点から、最適なアドバイスをご提案いたします。

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相続税の取得費加算の特例とは?適用できない例や併用できる例をご紹介

不動産を相続する予定がある方のなかには、相続したあとに支払う相続税がいったいどのくらいかかるのか不安に感じている方もいると思います。
もし相続した不動産をいずれ売却したいと考えているなら「取得費加算の特例」についてチェックしておくと良いでしょう。
そこで今回は、「相続税の取得費加算の特例」とはどのようなものか、適用できないケースや併用できるケースについてご紹介します。

相続税の取得費加算の特例とは

相続税の取得費加算の特例とは

相続によって取得した不動産を売却しようと考えているなら、取得費加算の特例について知っておく必要があります。
ここからは、相続税の取得費加算の特例とはどのようなものか、ご紹介します。

取得費加算の特例の概要

相続税の取得費加算の特例とは、相続や遺贈で取得した土地・建物・株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に適用される特例です。
これにより、相続税額の一部を取得費に加算することができます。
不動産を売却して譲渡所得を得た場合、確定申告をおこない、譲渡所得税を支払う必要があります。
譲渡所得税を計算する際、売却で得た金額からその不動産の取得にかかった費用を差し引くことが可能です。
取得費加算の特例は、相続税額を基に計算した一定金額を取得費に加算できる制度で、譲渡所得金額を減らすことができ、結果として税負担が軽減されます。

取得費加算の特例の要件

取得費加算の特例を受けるための要件とは、以下の3つです。

●相続や遺贈により、財産を取得したものである
●その財産を取得した人に相続税が課税されている
●その財産を、相続開始のあった日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以降3年を経過する日までに譲渡している


ここで注意すべき点は、譲渡した不動産のうち、相続または遺贈により取得した部分とそれ以外の部分がある場合、特例の対象となるのは相続または遺贈により取得した部分のみであることです。
また、不動産の譲渡において譲渡益が発生していない場合、すなわち譲渡損失が生じている場合には、特例の適用を受けることはできません。

取得費加算の特例の計算式

取得費加算の特例を利用して所得税を算出するには、まず取得費として加算できる金額を計算し、その後譲渡所得を求め、譲渡所得に税率を適用します。
取得費加算の特例に加算できる金額を算出する計算式は、以下のとおりです。

●相続税額×不動産の課税価格÷(相続した全体の課税価格+債務控除)
次に、取得費加算の特例を適用した場合の譲渡所得金額を算出する計算式は以下のとおりです。

●譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)
所得税額を算出するためには、譲渡所得金額に税率を適用して計算しますが、税率は所有期間によって異なります。
税率は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は39.63%、5年超の場合は20.315%です。
取得費加算の特例を活用して譲渡所得を減らすことができれば、所得税の節税につながり、有利になります。

相続税の取得費加算の特例が適用できないケース

相続税の取得費加算の特例が適用できないケース

相続税の取得費加算の特例には、適用できないケースもあるので注意が必要です。
ここからは、相続税の取得費加算の特例が適用できないケースにはどのようなものがあるかをご紹介します。

贈与された財産

相続関係にあった場合でも、贈与された財産には取得費加算の特例は適用できません。
また、法人が遺贈によって財産を取得した場合も、取得費加算の特例は適用されないため、注意が必要です。
取得費加算の特例は譲渡所得に関する特例ですが、法人が財産を譲渡した場合にかかる税金は、法人全体の利益として加算されます。

相続時精算課税と3年以内加算制度を用いた場合以外

贈与された財産については取得費加算の特例は適用できませんが、相続時精算課税制度および3年以内加算制度を利用した場合には適用されます。
相続時精算課税制度は、生前贈与の課税を相続時まで先送りする制度で、上限は2,500万円です。
2,500万円までの財産を生前贈与した場合、贈与税の支払いは不要となり、被相続人が亡くなり相続が開始された時点でその財産は相続財産としてカウントされます。
贈与された財産を含む相続財産の総額が基礎控除額を超えていれば、取得費加算の特例が適用されます。
3年以内加算制度は、亡くなった日を起点として過去3年間に行われた生前贈与の財産を亡くなった時の財産に足し戻し、相続税を計算する制度です。
この制度は2024年1月1日より3年から7年に延長されました。
そのため、現在では贈与を受けてから7年以内に被相続人が亡くなった場合、生前贈与はなかったこととみなされます。

夫婦間の相続

夫婦間の相続で不動産を受け取る場合、取得費加算の特例が適用されないことがあります。
夫婦間の相続では、配偶者の税額軽減が適用されるため、相続税を支払わずに財産を取得できるケースがあります。
配偶者の税額軽減とは、配偶者が相続した財産のうち、課税対象となるものが1億6,000万円、または配偶者の法定相続分相当額を上回らない限り、配偶者に相続税がかからない制度です。
取得費加算の特例は、支払った相続税が取得費として加算される仕組みであるため、相続税が発生しない場合、夫婦間での相続には取得費加算の特例は適用されません。

相続税の取得費加算の特例と併用できる特例

相続税の取得費加算の特例と併用できる特例

相続税の取得費加算の特例には、併用できる特例がいくつかあるので、知っておくと譲渡所得税をさらに抑えることが可能です。
ここからは、相続税の取得費加算の特例と併用できる特例についてご紹介します。

3,000万円特別控除

マイホームを売却した場合の3,000万円特別控除は、取得費加算の特例と併用が可能な特例のひとつです。
この特例は、所有期間に関係なく、譲渡所得から最高で3,000万円までを控除できます。
例として、親と子が一緒に住んでいたケースや、親に相続が発生して子が自宅を相続したケース、相続から3年10か月以内に子が自宅を売却したケースが挙げられます。
ただし、同じ特別控除であっても、空き家を譲渡する場合の3,000万円特別控除については、取得費加算の特例との併用はできません。
また、マイホーム特例を受けるためだけに入居した家屋や、家屋を新築する間だけ住んだ家、一時的な目的で入居した家屋は併用できませんので、注意が必要です。
別荘など趣味や娯楽、保養などのために所有する家屋も適用外です。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例を使った土地を売却した場合でも、取得費加算の特例は併用できます。
小規模宅地等の特例とは、相続などで取得した財産のうち、相続開始の直前まで被相続人が居住用、事業用などで使用していた宅地などを売却した場合に適用される特例です。
売却した宅地などのうち、一定面積までについて相続税の課税価格を減額することができます。
たとえば、被相続人が居住していた住宅を配偶者が相続した場合、330㎡までの面積について80%の減額が可能です。

まとめ

相続税の取得費加算の特例とは、相続または遺贈により取得した財産を、一定期間内に譲渡した場合に受けられる特例で、相続税額のうち一定額を取得費に加算できます。
相続税の取得費加算の特例が適用できないケースは、贈与された財産、相続時精算課税と3年以内加算制度を用いた場合以外、夫婦間の相続です。
相続税の取得費加算の特例と併用できる特例は、3,000万円特別控除の特例、小規模宅地等の特例です。


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