【福岡市版】相続における換価分割とは?メリット・デメリットや税金について解説

相続について

萬谷 詠史

筆者 萬谷 詠史

不動産キャリア25年

不動産業界歴25年のベテラン。賃貸、売買、投資、管理と、不動産のあらゆる分野で培った経験をもとに、物件の価値を様々な角度から見極め、最も有利な売却方法をご提案いたします。「頼んでよかった!」というお声を多数いただく、信頼と実績のある“売却のプロフェッショナル”です。

保有資格: 宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産キャリアパーソン
取扱実績:3,000件以上

相続における換価分割とは?メリット・デメリットや税金について解説

相続が発生すると、相続人全員で遺産分割協議をおこなう必要があります。
しかし「分割方法の決め方」をめぐってトラブルになることも少なくありません。
今回は、分割方法のうちのひとつである「換価分割(かんかぶんかつ)」について、仕組みやメリット・デメリット、かかる税金について解説します。

相続で知っておきたい「換価分割」とは

相続で知っておきたい「換価分割」とは

相続財産の分割方法は「換価分割」「代償分割」「現物分割」「共有分割」の4種類が一般的です。
そのうちの換価分割とは、相続財産を現金化して分割する方法を指します。
この分割は主に相続財産が不動産に偏っているときに利用される方法であり、今後使う予定のない不動産を手放したいケースなどに有効です。
遺産分割協議で相続財産の分割方法が決定したら遺産分割協議書を作成しますが、書き方は共同名義か単独名義かで異なります。
それぞれどのようなポイントがあるのか、以下で確認しておきましょう。

共同名義で換価分割をしたときの遺産分割協議書とは

そもそも共有名義とは、1つの不動産を複数人で所有することです。
換価分割をおこなうときに共同名義で不動産を相続するなら、それぞれの所有割合を遺産分割協議書に記載する必要があります。
また、共同で売却を実行した旨や、残金の取得割合もまとめておくのがポイントです。
遺産分割協議書の最後には、相続人全員の署名と捺印もおこなわなければなりません。

単独名義で換価分割をしたときの遺産分割協議書とは

単独名義とは、1つの不動産を1人で所有することです。
遺産分割協議書の書き方は共同名義とさほど変わりませんが、特定の相続人が不動産を所有する旨を記載します。
売却活動を1人でおこなったことや、売却後の配分も明確にしておくのがポイントです。
なお、遺産分割協議後に売却活動をせず、長期にわたって売却期間を設けていたときには、売却時に贈与税が課税される可能性があるので注意しましょう。
贈与とみなされないためには、遺産分割協議後に継続して売却活動をおこなう必要があります。

相続で換価分割をおこなうメリット・デメリット

相続で換価分割をおこなうメリット・デメリット

相続財産の分け方として換価分割を検討するときは、事前にメリットとデメリットを理解しておくことが大切です。
分割方法の特徴を把握しておけば、相続人同士のトラブルを防ぐことにもつながります。
スムーズに遺産分割を進めるために知っておきたい、換価分割のメリット・デメリットを2つずつ解説します。

メリット①公平な遺産分割がしやすい

換価分割のメリットは、公平な遺産分割がしやすいことです。
相続財産を現金化してから分けるので、1円単位の分配ができます。
法定相続分どおりの分配が可能となっており、トラブルにもつながりにくいのが特徴です。
土地や建物など物理的に分割が難しい遺産を相続するときには、換価分割を検討してみると良いでしょう。

メリット②相続税の節税ができる

換価分割は、相続税の節税効果が見込める可能性があります。
これは、不動産の評価額が時価よりも低くなるケースが多いためです。
相続税を計算するときには相続財産の評価額を算出しますが、一般的に土地は時価の8割ほど、建物は時価の6〜7割ほどで評価されます。
評価額が低ければ相続税も一定額下がるため、所有者の税負担が少なくなるでしょう。
たとえば、被相続人が生前に1億円の価値がある土地を売却したケースでは、売却して得た現金1億円に対して相続税がかかります。
しかし、時価1億円の土地を相続するときには、土地の相続税評価額が時価の8割程度になるため、8,000万円に対して相続税が課税されるのです。
このように、換価分割で不動産を現金化すれば、大幅な節税が期待できるでしょう。

デメリット①財産を売却する必要がある

換価分割のデメリットは、財産である不動産を売却しなければならないことです。
思い入れのある実家などを売却せざるを得ないため、後悔する可能性もあります。
また、不動産価格は景気動向や相場に左右されるのが一般的です。
売却を急ぐと安値での取引となってしまうおそれがあるので注意しましょう。

デメリット②手続きに手間がかかる

不動産を売却するには、査定や不動産会社との契約などさまざまな工程を踏みます。
査定から引き渡しまで約6か月程度が目安となっているので、余裕のあるスケジュールを組まなければなりません。
とくに、売却する不動産を共同名義にしたケースでは、売却時に名義人全員の署名や押印が必要です。
その分の手間や時間がかかるため、相続院の負担が重くなる可能性があります。

相続後の換価分割で発生する税金

相続後の換価分割で発生する税金

換価分割で発生する可能性のある税金は「相続税」「譲渡所得税」「贈与税」の3つです。
それぞれどのようなケースで課税対象となるのか、以下で把握しておきましょう。

課税される可能性のある税金①相続税

相続税は、相続が開始された時点の相続財産の評価額に対して課税されます。
たとえば、土地を相続したケースでは、路線価方式や倍率方式によって計算した評価額で相続税を求めるのが一般的です。
そのため、換価分割をしたときに得た売却価格は、相続財産の評価額とは関係がありません。
売却価格に対して相続税が課税されるわけではないので注意しましょう。
相続税が課税されるのは、課税遺産総額が「相続税の基礎控除額」を超えるときです。
相続税の基礎控除額は、以下のように計算して求めます。
3,000万円+(法定相続人の人数×600万円)
相続税が課税されるケースでは、相続税の申告期限までに申告書類を管轄の税務署に提出する義務があります。
期限を過ぎると、ペナルティの対象となるので注意しなければなりません。
相続税の申告期限は、相続を知った日の翌日から10か月以内に設定されています。

課税される可能性のある税金②譲渡所得税

譲渡所得税とは、譲渡所得を得たときに課税される税金です。
以下の計算式を用いて、譲渡所得がプラスになったときは税金が発生します。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
譲渡所得税に税率をかけて税額を計算していきますが、それらは不動産の所有年数によって異なります。
所有年数が5年以内の短期譲渡所得では所得税が30%、住民税が9%です。
5年超の長期譲渡所得は所得税が15%、住民税が5%になり、税率が下がります。
このように売却タイミングによって譲渡所得税の金額が変わるので、換価分割を利用するときは売却時期に注意が必要です。

課税される可能性のある税金③贈与税

遺産分割協議書に換価分割をおこなう旨が記載されていないケースでは、贈与税が発生する可能性があります。
贈与税は、個人から贈与により財産を取得したときにかかる税金です。
相続人の負担が大きくなる可能性が高いので、遺産分割協議書は慎重に作成しなければなりません。
遺産分割協議書の作成時には「換価分割であること」「売却代金の分配割合」を明記するようにしましょう。
換価分割できちんと不動産が相続されていれば、贈与税が課税される心配はありません。

まとめ

換価分割とは、相続財産を現金化して分配する遺産分割方法であり、不動産を相続するときに利用されるのが一般的です。
公平な分割ができるだけでなく相続税の節税にもつながりますが、売却手続きの手間や時間がかかります。
換価分割が理由で相続税が発生するケースはなく、遺産分割協議書に換価分割をおこなう旨を記載すれば贈与税もかかりません。


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