【福岡市版】遺留分の不動産評価額は?合意できないときの対処法も解説

相続について

萬谷 詠史

筆者 萬谷 詠史

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保有資格: 宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産キャリアパーソン
取扱実績:3,000件以上

遺留分の不動産評価額は?合意できないときの対処法も解説

遺留分は、法定相続人が最低限の権利を確保するための重要な制度です。
相続手続きにおいて、不動産の評価額は避けて通れない重要なポイントとなります。
評価額に合意が得られない場合には、専門家のサポートを受けることが必要です。
この記事では、遺留分の概要や不動産評価の方法について解説しますので、ぜひご参考ください。

遺留分とはなにか

遺留分とはなにか

遺留分とは、被相続人が遺言などで財産を処分しても、一定の法定相続人に保障される最低限の遺産取得分です。
相続人の生活保障や、公平性を保つための制度です。
まずは、遺留分の重要な要素を解説します。

法定相続人

遺留分が認められる法定相続人は、被相続人の配偶者、子(代襲相続人を含む)や直系尊属(父母や祖父母)です。
原則として、兄弟姉妹には、遺留分の権利がありません。
被相続人に配偶者と子がいる場合、両者とも遺留分を主張できます。
子が既に亡くなっているときは、その子(孫)が代襲相続人として遺留分を受け取ります。
遺留分権利者が複数いれば、各法定相続分に応じて配分されることが一般的です。
具体的には、配偶者と子二人が相続人の場合、配偶者の法定相続分は2分の1、子二人は各4分の1であり、遺留分もこの割合で計算されます。
自宅の購入資金を生前に援助していた場合、すでに受け取った金額が特別受益に該当し、遺留分の算定に影響することがあります。
こういった点も踏まえて、法定相続人が複数いるときはさまざまな点を考慮して最終的な遺留分を計算する必要があるため、十分に話し合いをおこなうことが望ましいです。

最低限

遺留分は、被相続人の財産処分の自由と、相続人の生活保障を両立する制度です。
遺言によって全財産を第三者に譲渡しても、遺留分権利者は最低限の取り分を請求できます。
ただし、この請求は自らおこなう必要があり、遺留分には消滅時効があります。
侵害を知った時から1年という短期消滅時効と、相続開始から10年という長期消滅時効があるため、請求の期限には注意が必要です。
仮に、被相続人が遺言でほとんどの財産を特定の相続人に集中させた場合でも、遺留分権利者は法定で定められた最低限の取り分を請求できます。
ただし、請求するには遺言書の有無や保管場所を確認し、時効の起算点を正確に把握しておく必要があるため、専門家の助言が有益です。

取得割合

遺留分の取得割合は、相続人の組み合わせによって異なります。
一般に、配偶者と子が相続人の場合、遺留分の総額は相続財産の2分の1です。
たとえば、配偶者と子一人なら、遺留分はそれぞれ4分の1ずつになります。
直系尊属のみが相続人のときは、遺留分の総額が相続財産の3分の1です。
このように、構成次第で割合が変わるため、相続人の組み合わせや法定相続分を正確に把握することが大切です。
配偶者と子が2人いる場合、配偶者が2分の1、子2人で残り2分の1を等分する法定相続分を基準に、それぞれの遺留分が割り振られます。
相続財産の構成が大きく変われば割合の計算も変動するため、誤解を避けるには正確な把握が欠かせません。

遺留分における不動産評価額の決め方

遺留分における不動産評価額の決め方

この章では、遺留分における不動産評価額の決め方についてご紹介します。
遺産に不動産が含まれる場合、その評価額の算定が遺留分請求で重要になります。

調べる

遺留分侵害額請求をおこなう際は、相続財産を正確に評価する必要があります。
不動産の評価方法として、路線価(相続税路線価)、固定資産税評価額、公示価格、時価(実勢価格)の4つが代表的です。
路線価は、国税庁が定める標準的な宅地の価額で、相続税や贈与税の基準となります。
固定資産税評価額は、市区町村が算定する土地や建物の評価額で、固定資産税の基準です。
公示価格は、国土交通省が公表する土地の価格で、市場価格に近いとされます。
時価は、実際の売買事例に基づく価格で、需給や物件の状態により変動します。
不動産の種類によって評価方法が異なり、賃貸用マンションと自宅用一戸建てでは収益性や固定資産税評価の違いがあるため注意が必要です。
また、路線価や公示価格は地域や時期によって変動することがあるため、評価の基準日に着目して価格を確認するようにしましょう。

相続人同士

不動産の評価額を巡り、相続人同士で意見が分かれる場合があります。
評価方法による差を埋めるため、不動産鑑定士に鑑定を依頼すると公平な評価額を得られます。
ただし、鑑定費用がかかるため、費用対効果を検討することも大切です。
相続人の合意が得られない場合は、家庭裁判所に遺留分侵害額請求の調停を申し立てることができます。
調停でも解決しなければ、訴訟に進む可能性が考えられるでしょう。
一例として、兄弟姉妹の間で地方の土地を相続する場合、将来的な売却や利用計画の相違から評価額に関する意見が対立することがあります。
不動産鑑定士に依頼すれば客観的な根拠を得られますが、鑑定費用がかかるため、事前に見積もりを確認し、相続人全員が納得することが望ましいです。

計算

不動産の評価額が確定したら、遺留分侵害額を算定します。
遺留分侵害額とは、遺留分額から実際に取得した財産を差し引いた残額です。
たとえば、遺留分額が1,000万円で実際の取得分が500万円なら、侵害額は500万円です。
この請求は、相続開始から1年以内におこなう必要があり、時効を過ぎると請求権が消滅します。
計算や手続きには専門知識が必要なため、弁護士などに相談することがおすすめです。
不動産が複数ある場合、それぞれの評価額を合算して全体の相続財産を把握し、そこから遺留分を算出します。
この際、賃貸物件の家賃収入やローン残高なども総合的に検討する必要があり、正確な情報収集が欠かせません。

遺留分の不動産評価額が決まらない・合意できないときの対処法

遺留分の不動産評価額が決まらない・合意できないときの対処法について

最後に、遺留分の不動産評価額が決まらない・合意できないときの対処法についてご紹介します。
不動産の評価額で意見がまとまらない場合、不動産鑑定士、弁護士、裁判所の利用が考えられます。

不動産鑑定士

不動産鑑定士は、不動産評価の国家資格を持つ専門家です。
評価額で合意できないときは、第三者の鑑定士に依頼する方法があります。
鑑定結果は、合意形成や裁判手続きで重要な資料になります。
ただし、鑑定費用は数十万円程度かかることが多いため、事前に確認して相続人間で合意することが大切です。
鑑定士の意見は、公的な評価基準や市場動向を踏まえたうえで算出されるため、親族間の主観に左右されにくい特徴があります。

弁護士

相続人同士の話し合いで評価額が決まらない場合は、弁護士に相談することも有効です。
弁護士は相続に関する法律知識を持ち、交渉や調停、訴訟の手続きをサポートしてくれます。
費用は相談料や着手金、成功報酬などがあり、事前に確認し納得のうえで依頼しましょう。
とくに、対立が激しい場合、弁護士の法的助言があると冷静に話し合いを進められる可能性が高まります。

裁判所

話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に調停を申し立てられます。
裁判所の調停委員が間に入り、意見の調整をおこないます。
調停が成立すれば調停調書が作成され、法的効力を持ちます。
不成立の場合は訴訟に進み、最終的な判決に従った問題解決が可能です。
ただし、調停や訴訟は時間や費用がかかるため、専門家の助言を得ながら進めることが重要です。
調停委員は法律だけでなく、当事者の事情にも配慮して解決策を探るため、柔軟な合意形成が期待できます。

まとめ

遺留分は、法定相続人に保障された重要な権利です。
不動産の評価額は、正確な調査と計算が求められます。
必要に応じて専門家や裁判所の力を借りながら、円滑な相続手続きを進めましょう。


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